本データベースについて

1960年代以降、日本における東南アジア研究の進展とともに、国内の関係諸機関による東南アジアに関する資料の組織的な収集が行われ、今では国内の多数の機関がそれぞれ特色のある資料の収蔵・公開を行っている。しかし、その一方で、これらの多種・多様、かつ大量の資料群が各地の図書館(室)に分散所蔵されているのが現状で、それを より有機的にそしてより効果的に活用するために、国内外の資料収蔵関係者や利用者が それを情報として共有し、収集・収蔵・利用の利便性と効率性を高める必要があるとの 声があがるようになってきた。特に、東南アジア諸語で出版された資料、とりわけ逐次 刊行物は現地社会における政治・経済状況の影響を受けやすいことから網羅的・継続的 な収集が難しく、収集方針の確定や保存・公開の際にかかせない、所蔵情報の共有にも 限界がみられた。

そのような状況をふまえ、2006年より2009年まで行われた科学研究費基盤研究(A)に よるプロジェクト「アフロ・アジアの多元的情報資源の共有化を通じた地域研究の新たな展開」(代表:田中耕司)の研究テーマの一つとして、東南アジア研究に必須と考えられる学術雑誌の選択とそれらの国内所蔵調査を行った。具体的には、現地調査や国内 外東南アジア研究者へのヒアリングなどを通じ、国内において所蔵されることが望ましいコア・ジャーナルの選択を行い、それらの国内所蔵調査を行った。その結果出版されたのが、『東南アジア研究逐次刊行物総合目録』(2009.3)である。コア・ジャーナルは最終的に432点が選択され、所蔵調査協力していただいたアジア情報を所蔵している図書館 (室)は105館(室)(目録作成時は104館(室)にのぼった。一方で、2008年12月の 調査時点で104館(室)の回答機関のいずれにも所蔵がないタイトルが80タイトル以上 あり、国内でアクセス可能な東南アジア研究情報の偏りが明らかになった。

2013年度からは収録対象をさらに広げ、新聞・官報についての書誌・所蔵データの整理・統合を図り、データベースを刷新した。2014年10月時点で目録収録数は989点、書誌所蔵数は3,045点である。

また、2014年度からは、科学研究費基盤研究(C)プロジェクト「インドシナ3国逐次刊行物データベースによる機関横断型ネットワーク構築の研究」(代表:大野美紀子)において、国外機関所蔵情報を追加すべくインドシナ3国機関との連携を進める一方、従来の日本語・英語版をもとに東南アジア諸言語版に対応する新しいデータベースを構築した。本データベースを活用することで、国内における該当雑誌の所蔵確認が容易になることはもちろんのこと、各図書館(室)における逐次刊行物の収集・保存方針の策定や、 図書館間連携につながることを期待する。

2021年度からは、科学研究費基盤研究(C)プロジェクト「東南アジア大陸部少数民族は言語文化アイデンティティをどのように維持発信しているか」(代表:木谷公哉)において収集したデータを加え、2023年9月時点で、目録収録数は16,997点、書誌所蔵数は13,157点、協力していただいた図書館 (室)は113館(室)となっている。また出版物(インターネットメディアを含む)の発信情報を網羅的に集約した「東南アジア大陸部少数民族語資料目録データベース」を包括するスキームへと移行し、 [語族][テクスト文字][出版地][出版年]等をキーとした資料情報の検索結果から分析、少数民族の言語・文化的動態の実像を把握・解明するとともに、「メタ情報としての資料情報活用」と「言語文化動態研究」を統合し、地域研究における新たな方法論の展開につなげることを期待する。

なお、最新情報に関しては、各所蔵機関のオンライン目録などを参照されたい。


関連プロジェクト


System Developed by 木谷公哉(京都大学東南アジア地域研究研究所)